こんにちは。秋田は連日雪、雪、雪で大忙し。雪寄せが本当に大変。やってもやっても振っては積もる。ところが、悪いことばかりではない。
雪国の方はご存知と思いますが、雪の除雪は思いのほか、ハードワーク!ちょっと動いただけでも汗をかきます。ママさんダンプと呼ばれる除雪道具で数回雪を運ぶだけでも結構いい運動になる。つまり、ジムに行かなくてもトレーニングができるのです。正月太りもこれで解消だ笑 雪と縁がない地域の体育会系の学生さんたちをターゲットに、雪寄せトレーニングができるからおいで、と営業をかけるのもありですね。
さて、2022年度も始まってすでに3週間が経過。相変わらず世間もコロナも落ち着きがなかなか見えないですね。ただ、そこで気落ちしていてもしょうがないので、私はというと仕事と並行してコツコツ、キカガクさんの動画講座を受けていました。(URL:https://www.kikagaku.ai/)お陰様で動画視聴率はようやく60%を超えました〜 2月までには終わるかな?引き続きがんばってまいります。
そんな感じで勉強を続けていたところ、ふと印象に残ったキーワードがありました。それは「内挿と外挿」。人工知能を学んでいたり、統計学を学んだことがある人にはお馴染みの言葉ですが、一般的にはあまり知られていない。どういう意味か?こんな感じです。
内挿(Interpolation)と外挿(Extrapolation)という言葉は、最近ではDeep Learning関連で目にする事が多い気がしますが、内挿・外挿とは、データを近似し、データ以外の場所を推定する際に、データの範囲内を推定することを内挿といい、データの範囲外を推定することを外挿といいます。
https://imagingsolution.net/math/interpolation_extrapolation/
さらに噛み砕いて、より簡潔にするとこんな感じ。
□内挿:データの範囲内ゾーン
□外挿:データなしの未体験ゾーン
ちなみにですね、人工知能は基本的に内挿モデル。「過去データから学習して予測すること」が得意。逆に苦手なことは何かというと「経験外の状況から予測すること」。これって私には衝撃的でしたよ。なぜかいうとAIのマッチングや予測って当然外挿もある程度織り込まれた学習モデルが使われているんだろうなぁ、と思っていましたので。。。AIによるマッチング!とか広告などで目にする機会も多くなってましたので、時代はかなり進んだなぁという印象を勝手に持ってました笑
ところがどっこい、実際世に出ているAIさんは大半が内挿マシンです。過去データから学習して予測することが得意、しかし、未知の事態には対応できない。では、こうしたことによってどういう事態が引き起こされるのでしょうか?とても参考になる記事がありましたので引用します。
たまたまゲリラ豪雨により路面が冠水して,人の視覚では側溝と道路の区別ができなくなったような状況を想像してほしい。自動運転の場合は,三次元地図情報を事前にAI内に獲得済みであり,さまざまなセンサーを搭載しているので,それらを複合的に利用すれば,道路から逸脱することは決して起こらないし,最悪でも停止するようになっているかもしれない。それでは,側溝からの増水が急激になったらどうするのか。そもそもこのような極端にシリアスなケースを,実世界の走行例だけから収集するのは時間的にいって不可能である。それは,前述したように,高次元空間を有限サンプルで埋めることは不可能だからである。同様の理由で,災害などの巨大なリスクインシデントの予知は今のAIの技術では困難であろう。
「視点 人工知能はみようみまねマシンの究極形」 樋口 知之 https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/59/5/59_331/_html/-char/ja
ちなみに、内挿マシンは通常はありえないような事態、いわゆる”ブラックスワン”的なイベントにとても弱い。今回のコロナパンデミックで引き起こされた社会や経済的な混乱はまさに予期せぬイベントでした。世界最強の小売・通販企業であり、高度な人工知能をフル活用している、Amazon社ですらもその影響を受けていたのです。
新型コロナウイルスが世界を崩壊させつつあった2020年3月、オンライン小売の巨人Amazon(アマゾン)はこのパンデミックが引き起こした急激な変化への対応に苦慮していました。水やトイレットペーパーといった、通常決して売り切れるはずのない日用品の在庫が払底し始めたんです。本来なら翌日または翌々日だった配送スケジュールが延びて数日後になりました。Amazonのジェフ・ベゾスCEOはコロナで240億ドル稼いだと言われる一方で、会社としてのAmazonは当初、優先度の高い商品の在庫確保と配送だけでも処理すべく、物流や配送、サプライチェーン、仕入れ、サードパーティ販売者の手続きなどの調整で四苦八苦していました。
普通の状況なら、Amazonの複雑な物流のほとんどを人工知能(AI)アルゴリズムが管理しています。無数の販売、配送の経験で磨き上げられたAmazonのシステムは、各商品がどれくらい売れて、配送センターの在庫をいつ補充すればよくて、どうまとめれば配送距離を最小化できるかを的確に予測できます。でもこのコロナ危機で我々の行動パターンが大きく変化し、これまでの予測が通じないようになってしまいました。
https://www.gizmodo.jp/2020/08/how-the-coronavirus-pandemic-is-breaking-artificial-int.html
どれだけ世界最先端の人工知能を持ってしても、予期せぬ事態が起きると一気に機能しなくなってしまうのです。ちなみに、内挿マシンの基本は帰納。個々のデータや事実を通して原理や原則を導き出すことがベースになっています。変化が少ない状況であればこの帰納は有効です。しかし、土台となる世界に過去のデータから予期できない変化が突発的に起こった場合は、予測機能の精度が一気に落ちてしまう。。。これは課題だ。
となると、求められるのは内挿マシンではない人工知能さん。単純な発想ですが外挿ということになるのでしょうか?調べてみたところ、実際、高度な研究の世界で「外挿予測が可能になった深層学習技術を開発した」というニュースを発見。
【共同発表】量子物理学の理論や波動関数に基づく新たな深層学習技術を開発-学習データにはない、分子構造が大きく異なる未知化合物に対する物性の外挿予測が可能-(発表主体:産業技術総合研究所)
https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/news/3401/
内挿と外挿のいいとこ取りをした人工知能が登場すれば、また世界が大きく変わりそうですね。ちなみに、ヒトは基本、外挿的な物事に対応してますよね。予測できない事態がいきなり起こりますし。そう考えるとヒトってすごいなぁ。お読みいただきありがとうございました。